SUMMARY
2040年のプライマリ・ケアは,今よりも予防的リハビリテーションのサポート機能を実装する。そうすることで,疾病の管理をしながら,当たり前のようにしている生活を続けられる安心と安全と生きがいを支えるケア資源となる。
KEYWORD
予防的リハビリテーション
生活や仕事で必要な機能が低下した(またはその恐れがある)者が,機能障害,活動制限,参加制約の発生や重症化を予防する行為のこと。実施主体は当事者にある。
PROFILE
じんのうちひろしげ。理学療法士。兵庫県立西播磨総合リハビリテーションセンターで勤務後,大阪大学大学院公衆衛生学で博士(医学)課程を修了し,現職に至る。公衆衛生および疫学の学会認定専門家。日本公衆衛生学会地域リハビリテーションのあり方委員会委員,日本疫学会学術委員会委員などを務める。
POLICY・座右の銘
“Hope is good thing, maybe the best of things. And no good thing ever dies.”(『ショーシャンクの空に』)
わが国のリハビリテーション(以下,リハビリ)は,三次予防,すなわち「後はリハビリくらいですね」といった何気ない説明に象徴されるように,“治療の最終手段”かのような認識が蔓延している。
筆者はこれまでに,地域保健や在宅診療の場での現場交流から,プライマリ・ケア医と療法士(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士などのリハビリ職種)との連携の可能性をみてきた。
以下,今後の20年間で,日本のプライマリ・ケアにおけるリハビリへの期待を展望する。