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小児の医療保険点数について

No.5221 (2024年05月18日発行) P.56

伊藤健太 (あいち小児保健医療総合センター総合診療科医長)

窪田 満 (国立成育医療研究センター総合診療部統括部長)

登録日: 2024-05-16

最終更新日: 2024-05-14

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  • 小児に関わる保険点数は「割に合わないな……」と感じることがよくあります。たとえば診断群分類別包括評価(diagnosis procedure combination:DPC)による医療費計算では,小児科の病名よりも成人の非常に軽症な病名のほうが点数が高くなることなど,枚挙にいとまがありません。
    なぜ小児の医療は「軽く」見積もられているのでしょうか。どうしていけばよいのかについて,日本小児科学会の社会保険委員会担当理事を務めていらっしゃる国立成育医療研究センター・窪田 満先生にご解説をお願いします。

    【質問者】伊藤健太 あいち小児保健医療総合センター総合診療科医長


    【回答】

    【小児医療の実情に合った診療報酬の要望は,小児科医のアドボカシー活動のひとつである】

    実は,現在の診療報酬制度で必ずしも小児医療が「軽く見積もられている」わけではありません。確かに15歳以上の市中肺炎では,手術なし,副傷病なしで入院期間①が1〜4日間で3183点/日である一方,15歳未満の肺炎は入院期間①が1〜3日間で2310点/日ですが1),小児入院医療管理料を算定していると話が違ってきます。たとえば,DPCに加算する小児入院医療管理料1の点数は,以下のようになっています2)

    〔入院期間14日以内:2740点,15日~30日以内:3045点,31日以上:3252点〕

    DPCが成人医療機関のデータをもとに作成されていることへの対応として,小児入院医療管理料は,日数が伸びるほど高くなるのです。この点数を15歳未満の肺炎の点数に加算すると,以下のようになります。

    〔入院期間1〜3日:5050点,4〜5日:4630点,6〜14日:4441点,15〜30日:4746点〕

    入院期間②で退院させるよりも,15〜30日で退院させるほうが点数が高くなります。小児の肺炎においてはしっかりと治療して,15〜30日で退院させるほうが診療報酬が良いようにできているのです。

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