日本医学会連合のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進委員会が今年1月、「男女共同参画など多様な背景を持つ会員の学術活動への参画と今後の支援方策に関する調査報告書」を公表した。同委員会委員長で埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科教授の名越澄子氏に、調査結果と今後の課題について聞いた。
日本医学会連合では、男女共同参画の推進など多様な背景を持つ医師・研究者・専門職の一層の活躍をめざし、加盟学会における男女共同参画推進などの現状と課題、医学会連合への要望などを2018年度から3年に1度調査しています。今回の調査期間は2021年12月27日~22年2月26日で、加盟138学会中100学会から回答(回収率72.5%)を得ました。
今回の調査結果を見ると、学会の役員に占める女性の割合は、2018年度の前回調査より若干上昇傾向にあるものの、まだ少ないのが現状です。たとえば、女性理事長は1人だけですし、女性の割合は理事・幹事が8.5%、評議員・代議員12.3%でした。総会員数の23.7%が女性であることを考えると、意思決定の場への女性の参画がいまだ不足しています。
それから役員の女性枠を設けている学会は、理事が21.4%(2018年度15.1%)。評議員・代議員15. 6%(同14.2%)、臨床部会・外科系理事20.6%(同6.3%)で全体では上昇傾向にあるものの、各種委員は5.2%(同13.2%)と減少しました。特に、前回18.8%だった臨床部会・内科系委員の女性枠は4.8%と、大幅に減っています。
また、年次総会での一般演題の座長の女性割合は12.3%、シンポジウムの座長は8.8%で、会員に占める女性割合に比べて低率のままでした。一般的には、一般演題よりシンポジウムでの発表のほうが大きな研究をして業績・成果を上げたということになりますが、演者の女性割合は、一般演題が24.1%であるのに対しシンポジウムは13.6%と少ないのが実態です。女性がそこまで頑張っていないということなのかもしれませんが、もっと女性にシンポジウムで発表できるような研究をしたり座長を務めたりする機会を与えてほしいと思います。