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ある雑誌の休刊 [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(88)]

No.4793 (2016年03月05日発行) P.71

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-27

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  • 生命科学関係には、『蛋白質核酸酵素』『細胞工学』『実験医学』と3つの雑誌があった。『蛋白質核酸酵素』は2010年からずっと休刊状態。そして、『細胞工学』もこの3月が最終号で休刊になってしまった。

    総説誌を読む人が減っているのだ。ネット情報の氾濫や活字離れだけではなく、専門分化が進みすぎたために、自分の関連領域以外にあまり興味を持てない人が多くなっているせいもあるのだろう。決して褒められた状態ではない。

    こういった雑誌に一度書いてみたい、というのは、駆け出し研究者にとってひとつの目標だった。いまや、そんな時代は終わりつつあるのかと思うと少し悲しい。

    『細胞工学』の編集委員を務めていたのはいい思い出だ。委員会で、特集テーマを決めるのは楽しかった。同世代の数人が集まって、食事をしながら、どんなテーマがトレンディーか、そして、誰に特集を組んでもらえばいいかをわいわいと議論する。おかげさまで、ずいぶんと視野が広がった。

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