黒質ドパミン神経の変性脱落により,無動を中核とし振戦や筋強剛などの運動症状を呈する疾患である。人口の高齢化に伴って世界的に患者数は増加しており,日本での現在の有病率は人口10万人当たり150人程度と言われている。
全体の半分を占める振戦が目立つ例は診断が比較的容易であるが,無動・筋強剛型では診断が遅れる傾向がある。診断を確定できる補助検査法はなく,MRIなどの画像検査も他疾患の除外目的で施行される。鑑別が最も困難なのは多系統萎縮症や進行性核上性麻痺であり,特に病初期には鑑別不能のこともある。
脳内のドパミン不足を補い,神経回路網の不均衡を是正することが治療の基本である。それと並んで,脳内で顕著な減少を示すアセチルコリンやノルアドレナリンの補充も考慮する。前者は認知機能低下と,後者は不安傾向や抑うつ,認知機能低下,起立性低血圧と関連すると考えられる。
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