細菌性髄膜炎は時に致死的で,見逃してはならない重要な感染症である。日本では年間約1500人の発症と推定されるが,本症に対するワクチンの定期接種化後,小児を中心にインフルエンザ菌b型髄膜炎および肺炎球菌髄膜炎の発症数は減少している。多い起炎菌は,新生児から3カ月までの乳児ではGBS(約40~60%)や大腸菌(約5~30%),4カ月から5歳までの乳幼児では肺炎球菌(約60%)やインフルエンザ桿菌(約10~20%),6~49歳では肺炎球菌(約60~70%)やインフルエンザ桿菌(約10%),50歳以上では肺炎球菌(約80%)である。免疫不全のある成人では,肺炎球菌を含むレンサ球菌(約40%),ブドウ球菌(約25%)が多く,緑膿菌(約5%)もみられる1)。髄膜炎菌や,肺炎球菌による髄膜炎(侵襲性髄膜炎菌・肺炎球菌感染症)は5類感染症であり,診断した医師は,7日以内に最寄りの保健所に届け出なければならない。