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腰部脊柱管狭窄症[私の治療]

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  • ▶治療の実際

    特に一手目,二手目はない。

    【軽症】

    〈腰痛,下肢痛に対して〉

    セレコックス100mg錠(セレコキシブ)1回1錠1日2回(朝・夕食後),またはロキソニン60mg錠(ロキソプロフェンナトリウム水和物)1回1錠1日3回(毎食後),またはカロナール錠(アセトアミノフェン)1回300~1000mg(投与間隔を4~6時間以上あける),またはノイロトロピン4単位錠(ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液)1回2錠1日2回(朝・夕)

    【間欠跛行に対して】

    オパルモン5μg錠またはプロレナール5μg錠(リマプロスト アルファデクス)1回1錠1日3回(朝・昼・夜)

    【中等症】

    〈腰痛に対して〉

    サインバルタ20mgカプセル(デュロキセチン塩酸塩)1回1カプセル1日1回(朝食後)より開始,治療用量60mg/日まで漸増

    〈神経症状を有する場合,上記に加えて〉

    タリージェ錠(ミロガバリン)1回2.5~5mg 1日2回より開始,維持用量15~30mg/日,またはリリカOD錠・カプセル(プレガバリン)1回25~75mg 1日2回より開始,維持用量150~300mg/日

    上記で効果が得られない場合,下記を併用または変薬する。


    トラマール25mg OD錠(トラマドール塩酸塩)1回1錠1日3~4回,またはワントラム100mg錠(トラマドール塩酸塩)1回1錠1日1~2回,またはツートラム錠(トラマドール塩酸塩)1回25~50mg 1日2回より開始,維持用量100~300mg/日,またはトラムセット配合錠(トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン)1回1錠1日2~3回(承認用量1回1~2錠×4回/日)

    【重症】

    〈腰痛,下肢痛に対して〉

    デュロテップMTパッチ2.1mg(フェンタニル貼付剤)1回1枚3日ごと(胸部,腹部,上腕部,大腿部等に貼付)

    ▶非典型例への対応

    不可逆的な神経症状を呈した場合,緊急手術や比較的早期の手術を要することがある。

    ①排尿・排便機能障害,さらに安静時・歩行時の会陰部灼熱感等が強く出現した場合

    ②下肢の筋力低下や,筋萎縮などが出現した場合

    【高齢者への対応】

    高齢者では特に下記疾患との鑑別が重要となる。

    ①末梢動脈疾患(peripheral artery disease:PAD):同様に間欠跛行を呈する。腰部脊柱管狭窄症に比較し,休息時間が長い,自転車に乗れないなどの臨床症状を呈する。足背,後脛骨動脈の触知は必須である。足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index:ABI)の低下も参考にする。

    ②下肢関節疾患:跛行,下肢痛を呈する場合,変形性膝・股関節症を考慮に入れる。関節水腫,可動域制限などが鑑別点である。

    ▶専門家へのコンサルト

    ①保存療法で効果がない場合や,患者が詳細な「治療方針」「予後の説明」を求めた場合

    ②下肢筋力低下,膀胱直腸障害が出現した場合

    ③患者が手術療法を希望した場合

    【文献】

    1)日本整形外科学会, 他, 監: 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2011. 南江堂, 2011.

    2)Konno S, et al:BMC Musculoskelet Disord. 2007;8:102.

    大鳥精司(千葉大学大学院医学研究院整形外科学教授)

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