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【識者の眼】「高校生以上のHPVワクチン『キャッチアップ接種』はまだ間に合います」稲葉可奈子

稲葉可奈子 (産婦人科専門医・Inaba Clinic院長)

登録日: 2024-10-09

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27歳(1997年度生まれ)までの女性を対象に、子宮頸がんなどを予防するHPVワクチンの「キャッチアップ接種」の期限が2024年度末と迫っています。標準的な接種スケジュールでは、約6カ月かけて3回接種するため、9月中に1回目を接種すると、翌年3月までに3回すべてを自己負担なしで接種できます。そのため「9月中に接種を開始しましょう」との呼びかけが広まっていました。もう10月になってしまいましたが、まだ接種していない方はもう間に合わない……というわけではありません。

通常の接種スケジュールは、1回目の接種の2カ月後に2回目、その4カ月後に3回目、計6カ月間で行われます。ただし、この標準的な接種間隔で接種できない場合は、1回目の接種から1カ月後に2回目、その3カ月後に3回目を接種することで、最短で約4カ月間で接種を完了させることができます。この短縮スケジュールも、有効性や安全性は標準スケジュールと変わらないとされています。

ただし、11月末に1回目を接種すると、2回目が年末の医療機関の休診期間に重なってしまい、2回目がちょうど1カ月後には接種できない可能性があります。ですので、おそくとも11月中旬までに1回目を接種するのがおすすめです。また、冬場はインフルエンザなどの影響で予定通りの接種が難しい場合があるため、なるべく早めに1回目を接種するのが望ましいです。

接種をご検討されている方は、まずは接種券の有無を確認することが重要です。接種券を紛失してしまった場合は、住民票がある市区町村の保健所で再発行が可能です。再発行の際は、保健所に直接行くと、その場で受け取れることもあります。また、住民票と現在の居住地が異なる場合でも、住民票がある自治体に事前に連絡しておけば、別の自治体で接種した際に費用の一部が助成される場合もあります。

全科の先生方にお願いです。16歳(高校1年生)〜27歳の女性が受診された際には、ぜひ一言、HPVワクチンは接種されたかどうかご確認頂き、もしまだでしたら、まだ間に合うことと、接種を迷っている方には産婦人科でご相談されるよう、お声かけ頂けますと幸いです。その一言がその患者さんを子宮頸がんから守るかもしれません。みなさまご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

稲葉可奈子(産婦人科専門医・Inaba Clinic院長)[キャッチアップ接種][HPVワクチン][子宮頸がん

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