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腰椎椎間板ヘルニア[私の治療]

No.5245 (2024年11月02日発行) P.49

神前拓平 (済生会和歌山病院整形外科/和歌山県立医科大学整形外科学講座)

山田 宏 (和歌山県立医科大学整形外科学講座教授)

登録日: 2024-11-04

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  • 腰椎椎間板ヘルニアとは,腰椎椎間板の髄核が後方の線維輪を穿破し,椎間板組織が脊柱管内に突出または脱出して,神経症状が出現したものである。ヘルニアによる神経組織への直接的な圧迫,および炎症性メディエーターを介した炎症反応により,下肢の神経根症状や腰痛を呈する。

    ▶診断のポイント

    神経症状を呈する腰椎椎間板ヘルニアは,一般に認める脊柱管内(正中,外側陥凹部)のほかに椎間孔内から椎間孔外に発生する場合もあるため見落とされることがあり,注意を要する()。見落とさないためには神経根の三次元画像を確認するよう心がけるべきである。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    腰椎椎間板ヘルニアは時間経過により自然退縮が期待できる。これは,ヘルニア発生によって惹起された炎症により,血管新生や炎症細胞の遊走が起き,ヘルニアの基質が分解されるためと考えられる。形態的には髄核脱出,遊離型ではより吸収されやすく,また大きなヘルニアほど吸収されやすい。ヘルニアの退縮に伴い,症状も自然に軽減する場合が多い。椎間板内圧が上昇することでヘルニアがより押し出されるため,前屈姿勢,中腰姿勢,重量物の運搬などは避けるよう指導し,安静を心がける。

    筋力低下や膀胱直腸障害を伴う椎間板ヘルニアの場合は可及的速やかに手術を行い,神経除圧を図る必要がある。これらの症状は時間経過とともに回復能力が低下するため早急に手術を行う。また,椎間板ヘルニアは比較的社会的活動量が多い20~40歳代に好発することから,安静加療が困難な患者に対しても手術を選択することが多い。

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