正常な脊柱は正面から見るとまっすぐであるが,脊柱側弯症(側弯症)では脊柱が回旋しながら曲がっている。側弯症は神経や筋肉の病気などの様々な原因を背景に生じるが,最も頻度が高いのが思春期(10~18歳)に発症する「思春期特発性側弯症」であり,本稿で概説する。
側弯症の発症頻度は,思春期の女子の2~3%であり1), 女子が男子の5〜7倍である。側弯症になると脊柱変形の進行に伴い体表面が変形し,背部や腰部の突出(ハンプ),ウエストの非対称性を自覚する。さらに変形が重度に進行すると,腰背部の痛み,胸郭の変形による呼吸機能低下,運動機能の低下を生じる可能性がある。しかし,初期の段階では体表変形は目立たず自覚症状も乏しいため,患者も周りの人たちも気づかない場合が多い。外見の変化が明らかになり自覚症状が出る頃には,側弯症は手術が必要なくらい重度に進行している場合が多い。
そのためわが国では早期発見の目的で,就学時および定期健康診断時に脊柱の異常(側弯症)のスクリーニングが学校保健安全法により義務づけられている。医療機関には二次検診あるいは三次検診として受診することになっている。
X線写真で診断を確定する。コブ角10°以上が側弯症と診断される。側弯症は成長とともに悪化する可能性があるため,同時に骨成熟度の評価も重要である。通常,リッサーサイン(腸骨陵の骨端線の状態)で骨成熟度を評価する。
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