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誤嚥性肺炎を起こして絶食になった場合[たんぽぽ先生の〈パターンで考える〉在宅医療の実践(3)]

No.5247 (2024年11月16日発行) P.29

永井康徳 (医療法人ゆうの森たんぽぽクリニック)

登録日: 2024-11-18

最終更新日: 2024-11-13

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「食べたい」「食べさせたい」に応える食支援

あなたは亡くなる最期の日まで食べることを望みますか? それとも最期は絶食でも仕方がないと思いますか?

現在は,亡くなる最期まで点滴や経管栄養,胃瘻などの人工栄養を続け,吸引などの医療処置が必要となり,絶食で亡くなることが圧倒的に多い時代です。がんでない高齢者では,絶食となった際に,点滴やチューブなどの人工栄養を受け,吸引されながら,場合によっては拘束されたまま最期を迎えることも多くあります。特に誤嚥性肺炎で入院した高齢者は絶食となり,点滴を受けながら治療を続けますが,肺炎が治っても,その予防のために絶食が続き,「食べたい」というのぞみがかなうことなく亡くなります。誤嚥予防のために医療者が本人の食べる権利を安易に奪ってもよいのでしょうか?

終末期に「絶食」にせず,口から食べるという取り組みは「食支援」と呼ばれ,在宅医療では近年,注目されています(図1)。本人の生き方に寄り添う在宅医療では,本人の「食べたい」,家族の「食べさせたい」という気持ちに応えたいと考えています。リスク回避を優先して禁止するのではなく,亡くなる前でも本人が食べたいものを食べさせてあげたいと私は思います。一人ひとりにとって最善は違いますが,治し続けて最期を迎える選択肢もあれば,本人がやりたいことをして最期を迎える選択肢もあるはずです。いつか最期を迎えるときに,本人はどんな最期を迎えたいと思っているのだろうと,本人の気持ちに思いを寄せることも大切なことではないでしょうか?

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