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ガングリオン[私の治療]

No.5248 (2024年11月23日発行) P.43

酒井昭典 (産業医科大学整形外科学教室教授)

登録日: 2024-11-23

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  • 関節包,腱鞘,靱帯などから発生する弾性のある囊腫である。内容は透明で粘稠なゼリー状の液である。手部の皮下腫瘤として存在することが多い。稀に,神経内,骨内,筋肉内に生じることがある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    手に生じる腫瘤としては最も頻度が高く,20〜40歳代の女性に多い。関節近傍あるいは腱鞘上に表面平滑で弾性のある皮下腫瘤として存在することが多い。通常皮膚との癒着はなく,関節包や腱鞘と癒着している。手部では,手関節背側に好発し,そのほか手関節掌側,手指屈筋腱腱鞘上,遠位指節間関節背側(へバーデン結節に伴うものは粘液囊腫と呼ばれる)などに発生する。ついで,足部や膝関節周囲に多い。無痛性のことが多いが,関節近傍にできると,関節部の違和感や運動時痛を伴うことがある。神経近傍にできると,神経を圧迫して,しびれや痛み,運動麻痺などを起こす。発生原因は不明だが,関節包,腱鞘,靱帯の粘液変性を伴った退行性変性によると考えられている。

    穿刺して透明で粘稠なゼリー状の液が吸引できれば診断を確定できる。中には,持続する手関節痛の原因として,触知困難な不顕性のガングリオン(オカルトガングリオン)がある。その診断にはエコーやMRIが有用である。鑑別疾患として,非腫瘍性の腫瘤としては類上皮囊腫(粉瘤)や滑液包炎などが,腫瘍性の腫瘤としては神経鞘腫,腱鞘巨細胞腫,脂肪腫,血管腫などがある。

    【検査所見】

    視診では透光性がある。画像診断にエコーやMRIは有用である。エコーでは,境界明瞭な低エコー像として認められる。MRIでは,内部に液体を含む境界明瞭な囊胞性病変として検出される。T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を呈する。隔壁構造を有し,分葉状あるいは多房性のこともある。

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