健康小児における新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)は,一般的に成人と比較して軽症である。一方で,稀に認める重症例においては,成人のような重症肺炎の形ではなく,痙攣,クループ症候群,急性脳症,急性心筋炎などを認める場合が多い。
小児は成人と比較し感冒罹患機会が多く,発熱や咳嗽などの非特異的な臨床症状のみでCOVID-19と他の気道感染症を鑑別することは難しい。直近の周辺流行を認めた場合などにCOVID-19を疑う。特に生活行動範囲が限定されている学童期以下の小児においては,家庭内,保育所,幼稚園,小学校における流行情報は早期診断に非常に重要である。流行初期は核酸増幅検査(PCRなど)が多用されていたが,最近は抗原定量・定性検査が主流となっている。ただし,抗原検査の感度はPCRに劣る。
軽症例が多い小児においては,全例を積極的な治療対象とする必要はない。健康小児は抗ウイルス薬による治療は不要であり,対症療法のみで自宅での経過観察を行う。
重症化が危惧される基礎疾患を有する小児1)においては,積極的な治療介入を行う。抗ウイルス薬による治療をする場合は,ウイルスが増殖する前に直ちに治療を開始する。
既に臨床症状が進行した段階における抗ウイルス薬の有効性には限界があり,循環・呼吸などの全身管理やステロイドなどを用いた免疫抑制・調節が治療の主体となる。ただし,実際はこのタイミングでも抗ウイルス薬が併用されることが多い。
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