No.5250 (2024年12月07日発行) P.50
二木 立 (日本福祉大学名誉教授)
登録日: 2024-12-04
最終更新日: 2024-12-03
財務省は、2024年春の財政制度等審議会「建議」前後から、「地域別単価の導入」(「医師過剰地域」での診療所診療報酬の引き下げ)を主張し始めました。それは「骨太方針2024」には盛り込まれませんでしたが、財務省はその主張を繰り返しています。医療政策史的には、この主張は今から60年以上前の1963年に撤廃された「地域別診療報酬」(非都市部での単価を低く設定)の逆方向での復活と言えます。
しかし、地域別診療報酬が導入・撤廃された詳しい経緯は、現在はほとんど知られていません。そこで、撤廃前後の以下の資料を用いて調べました。日本医師会「地域差はかくして撤廃された」〔『日本醫師会雑誌』49(6), 1963年〕、同「診療報酬(支払い方式)の歴史と展望」(『国民医療年鑑昭和39年版』)、『日本醫事新報』等の専門誌4誌の撤廃前後の報道・論評、及び『大阪府保険医協会の歩み』(1984年)等。なお、『厚生(労働)白書』等、国の公式文書には撤廃のまとまった記述はありませんでした。