日本医師会は2月19日、医薬品供給等の最近の状況に関する懇談会を開き、宮川政昭常任理事(薬事・医療機器担当)が医薬品の安定供給に向けて「国内の製造基盤を維持・強化することが不可欠」と述べた。
宮川常任理事は、医薬品の供給不安が起きている大きな要因として、2005年の旧薬事法改正により医薬品委託製造が進んだことで一部の新薬メーカーの工場が後発品メーカーに売却され、現在に至っているため工場の老朽化が進んでいる懸念があると指摘。「政府の補助金などによる支援で生産拠点の整備を図る必要がある」との考えを示した。
その上で、2024年度補正予算などで政府が安定供給に向け約185億円の対策を行っている点は評価しつつ、「全く足りない。工場新設には数百億円規模の支援が必要」と強調。医薬品は経済では割り切れない国家の安全保障の一環として捉え、「人間安全保障という枠組みを作り、検討すべきだと国に強く要望する」と訴えた。
「医薬品は国家の安全保障」と強調する宮川常任理事