胎生期の心房中隔形成障害による二次孔欠損が,成人期に診療の対象となる心房中隔欠損(atrial septal defect:ASD)の多くを占める。ほかに一次孔欠損,静脈洞欠損,冠静脈洞欠損がある。欠損孔を介した左右短絡が右心系への容量負荷となり,加齢とともに労作時息切れ,心房性不整脈が出現し,心不全や肺高血圧を合併する頻度が上昇する。
若年期には無症状であり,心雑音や心電図異常などにより健診で発見されることが多い。心電図の右脚ブロックや孤立性陰性T波が特徴的である。小児期に診断されていたが,自覚症状に乏しいため治療を受けずに経過した患者に遭遇することも少なくない。
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