令和6(2024)年6月に2年ぶりとなる診療報酬改定が行われました。保険診療を行う医師にとってこの改定は大きく影響すると思われます。この改定について,皮膚科医が気をつけなければならないポイントを教えて下さい。また,この改定は皮膚科医にどのような影響を及ぼすでしょうか。
西大沼皮フ科クリニック・高須 博先生にご解説をお願いします。
【質問者】
畑 康樹 神奈川はた皮膚科クリニック院長
【ベースアップ評価料を算定し,先発品に対する選定療養を理解する】
令和6年度診療報酬改定の皮膚科におけるポイントは,①医療従事者への賃上げのためのベースアップ評価料:算定が複雑なため,皮膚科は導入を見送る施設が多い,②初再診料の引き上げ:20年ぶりの引き上げであるが初診3点,再診2点である,③医療DXの推進:電子カルテを導入していない施設には恩恵なし,④ポストコロナの感染対策の推進:外来感染対策向上加算など,皮膚科では算定が困難な項目が多い,⑤処方箋料の引き下げと一般名処方加算の見直しによる後発品使用促進:処方薬すべてを一般名処方にしないと減算になる,⑥苛性カリ法(KOH)+3点,22箇所以上のパッチテストが算定可能,爪甲除去+10点,などが挙げられます。しかし皮膚科医が最も留意すべき点は,令和6年10月から始まった「長期収載品(先発品)に対する選定療養導入」です。
この療養は,処方箋において先発品と後発品の差額の「4分の1」を患者さんに負担して頂く仕組みです。対象となる薬剤は,後発品の上市後5年以上経過した先発品,または後発品の置き換え率が50%以上となった先発品で1095品目あります。
基本的な考え方は,以下の通りです。
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