(概要) 塩崎恭久厚生労働相は26日の経済財政諮問会議で、後発医薬品の数量シェアでの使用割合を「2020年度末までに80%以上」まで高める新目標を設定する方針を表明した。
政府が目指す国・地方の基礎的収支の黒字化に向け、2020年までに厚労省が進める施策(別掲)の1つとして提示された。財務省は「17年度内に80%」を求めていたが、メーカーの供給能力に配慮した形。
後発品の使用割合は13年9月で46.9%。現行目標は「17年度末までに60%以上」としているが、達成時期を16年度末とし、1年前倒しする。厚労省の試算では、新目標通りに使用割合が上昇していった場合、医療費の削減効果額は計1兆円程度になると見込んでいる。
会議終了後に会見した甘利明経済再生担当相によると、麻生太郎財務相は「今夏の骨太方針に明記すれば、企業が設備投資をしやすい」と新目標を評価。一方、民間議員からは「17年度内に80%くらいまで踏み込むべき」との意見が出たという。
塩崎厚労相はこのほか、全国約5万7000の薬局すべてを、患者の服薬情報を一元的に管理する「かかりつけ薬局」に再編する方針を提示。かかりつけ薬局の具体的な定義や評価方法は、今後の中医協で検討が進められる見通しだ。
●残された課題に「診療報酬のあり方」
経済財政諮問会議の民間議員は、(1)社会保障サービスの公的分野の産業化促進、(2)インセンティブ強化による仕組みづくり─などを柱とする社会保障分野の歳出改革を提言している。
提言では、診療報酬を病床再編と医療費の地域差解消のインセンティブとして活用するよう求め、医療費適正化が進まない地域の診療報酬を引き下げる措置も提案。次期以降の改定に向けては、「過年度のデフレ分についての段階的なマイナス調整を本体価格に反映する」「市場実勢価格を踏まえた薬価の毎年改定」などの実行を求めている。
甘利経済再生担当相は26日の会見で、診療報酬全体のあり方や給付・負担の地域格差の是正などが「残された課題」と説明。「厚労省の方針は出たが、医療費削減に具体的に踏み込んだ部分は少ない」とし、6月の骨太方針策定まで議論を詰めていくとした。