嚥下時のつかえ感、症状はそれだけだった。40歳のその患者さんは、近医で上部消化管内視鏡検査を受け、壁外性の高度食道圧排を指摘され、当院を紹介受診した。自覚症状の軽さに反して、初診時のCT画像は無治療なら余命いくばくもない進行がんであることを雄弁に物語っていた(図)。腹腔リンパ節転移や腹膜播種も伴っており、ステージⅣB。治療介入をしても、非常に厳しい状態であることは衆目の一致するところであった。
残り639文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する