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世にドーピングの術はつきまじ [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(104)]

No.4809 (2016年06月25日発行) P.74

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

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  • 絶えることのないドーピングの報道を聞くたび、ツール・ド・フランス7連覇をなしとげた─剝奪になったので、正しくはなしとげたとされていた、だが─ランス・アームストロングを思い出す。アームストロングは、幻となった7連覇の前に精巣腫瘍を克服している。それも、副作用としての肺線維症を恐れて全米の専門医を回り、ようやくブレオマイシンを使わない非標準的な治療法を探し出してまで、である。

    ドーピングの噂は絶えなかったが、常に「私ほど薬剤の恐ろしさを知っている者はいないのに、そんなことをするはずがない」という旨の発言を繰り返していた。すっかり信じていたのに、ウソだった。ファンだっただけに愕然とした。その詳細は、チームメイトであったタイラー・ハミルトンの傑作ノンフィクション『シークレット・レース』(小学館文庫)に詳しい。

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