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ディオバン事件初公判、ノバ社元社員が無罪主張「イベント水増ししていない」

No.4783 (2015年12月26日発行) P.8

登録日: 2015-12-26

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ノバルティスファーマ社の降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の論文不正事件で、論文のデータを改竄したとして薬事法違反(虚偽広告)の罪に問われた同社元社員、白橋伸雄被告とノバ社に対する初公判が16日、東京地裁(辻川靖夫裁判長)であった。白橋被告とノバ社は無罪を主張した。
起訴状によると、白橋被告は京都府立医大の研究者が2011年と12年に発表したKyoto Heart Study(KHS)のサブ解析論文で、非ARB群の脳卒中等のイベントを水増ししたデータを研究者に提供したなどとされる。起訴内容がサブ解析論文なのは、東京地検が強制捜査に入った時点で主論文の公訴時効が成立していたため。
黒のスーツ姿で出廷した白橋被告は「統計解析の手伝いをしたことはあるが、イベントの水増しはしていない」などと主張。ノバ社の古島ひろみ執行役員も「白橋氏による虚偽論文作成の事実を確認できない」と否認した。さらにノバ社の弁護人は、「本件は一部の医師を含め、KHSに関与した複数の者が種々の問題行為に及んだ総和」「仮に検察が主張する改竄があったとしても、それは白橋被告が独断で行ったこと」などと述べ、検察官が提示する企業犯罪とは異なると主張した。

●論文著者も出廷予定
今後の争点は、(1)白橋被告が非ARB群のイベント数を水増ししたデータに基づく図表等を作成・提供したか、(2)それは意図的な改竄か、(3)恣意的な群分けをしながら、論文の定義に沿った群分けを前提に研究者らに図表等を提供したか、(4)P値について、意図的な改竄を加えたデータを記載した図表等を研究者らに提出したか、(5)論文を白橋被告が記述したとみるか、(6)本件論文は、薬事法第66条1項による効能・効果に関する虚偽の記事に当たるか―など。
今後、30回程度の公判が予定されており、検察側証人として、論文筆頭著者の沢田尚久氏、研究責任者の松原弘明氏も出廷予定。

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