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“手荒れ”、ひとつのジェネシスについて [エッセイ]

No.4771 (2015年10月03日発行) P.74

中田一郎 (白十字総合病院外科)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-10

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  • いわゆる“手荒れ”は、専門的には進行性指掌角皮症と言われ、主に主婦、美容師、飲食店員、銀行員など、よく水仕事や紙を扱ったりする人々に見られる。

    原因は、繰り返し指先に加わる刺激であると考えられている。利き手の母指、示指、中指の指先から発症する。その症状として、皮膚が乾燥して剝がれ落ち、角化し、ひび割れ、指紋がなくなる、などが認められる。そして、さらに両手の掌全体に広がっていく。もともと外的刺激に弱い皮膚の持ち主、アトピー素因を有する人に多く見られ、冬に悪化し、夏に良くなることが多いようである。予防法は、普段から手指への刺激を少なくするように心がけることであり、手の洗いすぎは要注意である。手洗い後には皮膚にうるおいを与える薬を塗るなど、スキンケアを続けることが重要である。



    筆者は、1971年に医学部を卒業し、長らく消化器外科医として勤め、2011年に大学病院を定年退職した。退職後一時臨床を離れていたが、最近復帰し、若い先生方の力を借りて外来診察、病棟回診、外科手術に携わっている。復帰からしばらくして筆者に異常が発生した。それは両手のひどい“手荒れ”である。両手の手掌、手背は乾燥し、皮膚が剝がれ落ち、角化し、ひび割れてきた。手術あるいは処置用の手袋による接触皮膚炎と考え、手袋をノンラテックス、合成ポリクロロプレン手術用手袋、パウダーフリーに変えてみた。しかし、一時的に改善は認められるものの、完治はしない。1年くらい経過した頃、ふと気がついた。“指嚢”(指サック)だ。

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