日本福祉大学長で医療経済・政策学者の二木立氏は17日、都内で講演し、今回の診療報酬改定に3つの全体改定率が存在することについて「将来に禍根を残す」と懸念を示した。
今回の改定率は、診療報酬本体プラス0.49%、薬価等を含めた全体改定率は表向きマイナス0.84%で決着した。しかし、市場拡大再算定による薬価見直し分が計算式から除外されており、これを含めた全体改定率はマイナス1.03%、さらに特例再算定など枠外の削減分をすべて含めると最大マイナス1.43%となる(1月9日号「まとめてみました」参照)。
二木氏は「本体マイナス改定が回避されたのは、明らかに参院選対策だが、まことに結構」としながら、「全体改定率に数字が3つあるのはひどい。今後、医療費の増加要因分析や将来予測をする場合に正確にできなくなってしまう」と影響の大きさを指摘した。
講演は、官僚や研究者が参加する研究会(医療介護福祉政策研究フォーラム主催)で行われた。