日本医師会は19日、「社会保障と市場の原理」をテーマに医療政策シンポジウムを開催した。講演では、実業家の原丈人氏(デフタ・パートナーズ・グループ会長)が、自らが提唱する「公益資本主義」に基づく医療のあり方を論じた。
公益資本主義は「会社は事業を通じ、株主だけではなく顧客や取引先、従業員、地域社会に貢献すべき」という考え方だという。米国で複数の医療関連企業の経営に携わった原氏は、高額な対価を払わなければ良い医療が受けられないとして米国の医療制度を批判。日本の目指すべき方向性は、公益資本主義に基づいて、再生医療などの革新的な技術を事業化し、産業に育てる仕組みを作ることだと強調した。
八田達夫氏(アジア成長研究所所長)は、最低限の医療は強制加入の保険で賄い、それ以外は市場に委ねる「混合保険」や、若い時に蓄えた医療費を高齢になった時に使う「マクロスライド制」を導入すべきとの考えを示した。一方、神野直彦氏(東大名誉教授)は「医療は悲しみを分かち合う制度」と述べ、医療費抑制政策を批判した。