政府の経済財政諮問会議は11日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2016(仮称)」の骨子を了承した。議長を務める安倍晋三首相は「聖域なく歳出改革を行わなければならない」と述べ、重点分野に位置づけた社会保障について「医療・介護分野における徹底的な『見える化』を行い、給付の実態や地域差を明らかにすることでより効果的で効率的な給付を実現していく」と強調。塩崎恭久厚生労働相に対し、医療・介護のレセプトデータを全国的に連結し、社会保障費を効率化するための具体案を同会議に提示することを求めた。
同日はこのほか、伊藤元重委員(学習院大)ら民間議員が社会保障費のいわゆる「自然増」について、「深く検証すべき」と主張。自然増が「過去の実績を踏まえた概算的な積み上げにとどまっている」と指摘した上で、エビデンスベースで検証することを強く求めた。同会議は今月中に骨太方針を取りまとめ、政府に答申する予定。
【記者の眼】
今月下旬の伊勢志摩サミット開催や7月に控える参議院議員選挙のため、例年より前倒しで策定が進む骨太方針。経済成長と財政再建の両立を目指しているが、診療報酬改定年度でない上に、選挙への影響を懸念する声が与党から上がることが予想され、社会保障費の歳出抑制にどこまで切り込むかに注目が集まる。(T)