▼2014年度改定の施行から約2カ月が経った今月2日、「疑義解釈」第7弾が全国に送付された。白内障の水晶体再建術を2回の入院で左右行う場合、前回の退院から7日以内に再入院した場合は、最初は短期滞在手術等基本料3を算定し、次は出来高で算定することとされ、地方厚生局に多くの問い合わせがあった同手術の取り扱いが明示された。
▼短期滞在手術等基本料3は14年度改定で、対象手術・検査を21に拡大し、全点数を包括化するとともに平均在院日数の計算対象から除外。7対1の要件厳格化の1つとして導入され、短期手術で平均在院日数を稼いできた病院は影響が大きい。水晶体再建術や乳腺腫瘍摘出術などが対象とされた。
▼今月2日の疑義解釈に先立つ4月23日の疑義解釈では、同基本料3の乳腺腫瘍摘出術の取り扱いが示されたことを踏まえ、某地方厚生局では水晶体再建術の場合も同様と判断。最初の入院の退院日から7日以内に再入院した場合は、同基本料3を算定せず、2回とも出来高で算定すると説明していた。
▼地方厚生局の説明が後に出された疑義解釈の内容と異なっていたこと自体は、複雑化する診療報酬体系の中ではある程度、仕方がない。本誌が取材した地方厚生局担当官は「対応が二転三転し、ご迷惑をお掛けしてしまった」と困惑した様子を隠さなかったが、取材を通じて浮かび上がったのは、厚労省と地方厚生局の連携不足だ。
▼地方厚生局では厚労省のサイトをチェックし、算定に関する問い合わせに対応している。これでは医療機関が得ている情報と何ら変わりはない。驚くことにいつ疑義解釈が出るかという事前連絡さえないという。医療課は2日の疑義解釈について「取り扱いを明確化しただけ」としているが、某地方厚生局では1カ月半もの間、違う認識を持っていた。両者が最低限連携していればもう少し早く“誤読”に気づき、混乱はもっと小さく済んだはずだ。
▼4月11日付の読売新聞では、同手術では医療機関によって対応が大きく異なる可能性があることを指摘している。片眼ずつ、「出来高+出来高」で請求した患者に対しては、「短期滞在手術等基本料3+出来高」となるため不足分を再請求するケースも出ており、こうした事態は国民の医療不信を加速させることにつながりかねない。医療機関の地域連携を謳うだけでなく、厚労省はまず自ら組織内連携の充実に取り組んでほしい。