▼新語・流行語大賞や1年間の世相を表す「今年の漢字」が発表されるなど、今年も早いもので1年を振り返る時期になった。このほど年間大賞が発表された新語・流行語大賞だが、今年の候補語にはトップテンにランクインした「危険ドラッグ」をはじめ、医学・医療に関連したものが少なくない。
▼例えば、理研の小保方晴子氏が4月の記者会見で発した「STAP細胞はあります」というフレーズ。STAP細胞論文不正問題はもちろん、一連の降圧剤の論文不正問題など、2014年は研究不正問題への対応に関係機関が追われた年だった。2015年の医療界は、日本の臨床研究への信頼性をどのように取り戻すかが問われている。
▼今年は「エボラ出血熱」「デング熱」といった感染症が一般メディアでも広く取り上げられた年でもあった。デング熱はウイルスを持つ蚊が死滅する季節になり、収束に向かったが、西アフリカを中心にエボラ出血熱による死者はいまだに増え続けており、世界各国の医療者が対応に奮闘している。
▼筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者支援のため、バケツに入った氷水をかぶるか寄付を行う「アイス・バケツ・チャレンジ」も、山中伸弥京大教授など著名人が参加したことで大きな注目を集めた。奇しくも5月にはALS患者も対象に含む、新たな難病対策制度について定めた「難病医療法」が成立。「難病指定医」「難病拠点病院」などが創設され、約40年ぶりの大きな制度改正が行われた。
▼候補語には、団塊の世代が後期高齢者になり医療・介護ニーズが急増する「2025年問題」、人口減少により自治体の維持が困難になるとみられる「消滅可能性都市」もノミネートされた。2025年問題に関しては、本誌12月6日号で到来する多死社会での看取りをテーマに特集を組み、在宅や施設での看取りに対応する医師の取り組みを紹介している。比較的まとまった時間のとりやすい年末年始、改めてじっくりと読み返し、終末期医療について考えを深めていただければ大変嬉しい。
▼前号・今週号では2週にわたり、今年の医療界の出来事を振り返る「回顧2014」をお届けした。編集作業をしていて今年ほど多数の謝罪会見の取捨選択に悩んだ年はなかった。読者の先生方にとって、2014年に最も印象深かったのはどのニュースだろうか。回顧欄が1年間を振り返り、2015年を展望する一助となれば幸いである。