【Q】
アルコール性肝障害が基礎の肝左葉内側区域S4浸潤を伴った外側区域S3を占拠する巨大肝外発育型肝細胞癌の症例。CT体積比で右葉863cm3,S2は643cm3,左葉切除の肝実質残存率57%,残存肝ICG-K 0.066/分と不良なため,複雑で肝切離面積が広範ですが,S2温存S3,4切除を行いました。【A】
PTPEは,門脈血流が遮断された塞栓肝葉の萎縮と代償により非塞栓肝葉の再生を惹起させることによって,肝実質切除率を低下させる結果,肝切除適応の拡大や安全性の拡大を図るものです。その際,塞栓肝体積が小さい場合,非塞栓肝体積の増加が小さいことがわかっています。一般的に正常肝では残肝体積が40%,障害肝では50%より少ない場合,術後肝不全を回避するためPTPEが考慮されます。したがって,右葉切除以上(肝実質切除率が50%を超える)の大量肝切除が考慮される症例が対象となります。