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足関節内反捻挫を超音波でみるときのポイント

No.4764 (2015年08月15日発行) P.62

高橋 周 (東あおば整形外科院長)

登録日: 2015-08-15

最終更新日: 2016-11-10

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【Q】

近年,整形外科分野における運動器超音波の重要性はますます高まっています。そこで,私たちが日常診療でよく経験する足関節内反捻挫を超音波でみるときのポイントをご教示下さい。東あおば整形外科・高橋 周先生に。
【質問者】
鈴江直人:徳島大学病院整形外科講師

【A】

今まで足関節内反捻挫の画像診断には単純X線写真が第一選択とされてきました。しかし,近年,エコーの高画質化と高周波リニアプローブの開発により,CTやMRIの画質を凌駕するエコー画像が得られるようになりました。エコーを用いることにより,骨,軟骨,筋,腱,靱帯といった運動器を静止画像で診断するだけでなく,動的に観察し,診断することが可能になりました。このことから,足関節内反捻挫の画像診断の第一選択はエコーになったと考えています。
足関節内反捻挫では,骨だけでなく足関節から足部外側の靱帯を評価することが大切です。エコーでは,外果(小児では骨端線),前距腓靱帯,踵腓靱帯,前下脛腓靱帯,二分靱帯,第5中足骨基部の損傷,距骨下関節の血腫の有無を観察します。健側と比較することが大切です。
外果の骨折では,高エコーを呈する骨皮質の途絶とその表面に血腫が観察され,骨端線損傷では骨端線の離開や骨端線表面の血腫が観察されます。靱帯損傷では,損傷した靱帯は腫脹し,正常で観察されるfibrillar pattern(線状の高エコーの層状構造)の乱れや消失が観察されます(図1)。靱帯が骨に付着する部分での微小な裂離骨片も高い頻度で観察されます。
また,エコーを用いた診療では動的に観察することも可能です。足関節の前方引き出しテストをしながら,前距腓靱帯,踵腓靱帯を観察し,靱帯をつなぐ骨の距離の変動,靱帯の緊張度や断裂の状態を確認します。炎症の程度の評価にはドプラ機能を使用し,靱帯やその周囲の血流の状態を評価します。
エコーを使った足関節内反捻挫の診療では,これらの項目を毎週確認し,靱帯などの修復状態を詳細に確認して,スポーツの復帰時期の決定などに役立てています。

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