患者は81歳の女性(髄膜腫。2型糖尿病、認知症を伴う)。1984年(51歳時)に髄膜腫にて手術。術後再発し、手術3回と放射線治療を2回行った。頭頂から後頭部に及ぶ手術創は術後感染により骨癒合できず、皮弁のみである。頭髪のない皮弁部が美容上気になり帽子を取ることができず、患者の外出意欲を阻害していた。夫の死後(2009年)、独居となり、病状に対する不安感が強く、下痢などの軽微な病状変化でも病院への救急搬送を繰り返していた。長崎大学病院より在宅でのバックアップを依頼され、2011年7月より訪問診療開始。病状変化時の往診や電話応対で不安の解消に努めた。これが奏功し、以後、一度も緊急入院することはなかった。
2013年6月頃より「目が見えにくい。ぼーっとする」と訴えるようになった。9月に実施したMRIでは、髄膜腫が右後頭葉・頭頂葉に進展し、脳表に突出する腫瘤が認められた。2014年4月には腫瘍が増大し、頭表皮弁部の軽い膨隆だった部位が日に日に増大・緊満し、写真のように辺縁では腫瘤が下垂するほどになった。
残り550文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する