【Q】
イグノーベル賞を受賞した,粘菌の情報伝達メカニズム研究の詳細をご教示下さい。【A】
粘菌が迷路などのパズルを解くことを解明したことに対して,2008年,イグノーベル賞認知科学賞が与えられました。その2年後,粘菌が関東圏の鉄道網を設計する能力があることを解明したことに対して,イグノーベル賞交通計画賞が与えられました。受賞したのは,筆者らの研究グループです。粘菌は真核単細胞生物で,原生生物の仲間とされています。しかしながら,実験に用いられた変形体は多核細胞体であり,生活環の中の成長増殖のステージにあたります。変形体は,単細胞のアメーバ様生物ですが,数ミリ厚のシート状に広がって数メートルにもなることがあります。
▼ 中垣俊之:粘菌 その驚くべき知性. PHP研究所, 2010.
▼ Nakagaki T, et al:Nature. 2000;407(6803):470.
▼ Tero A, et al:Science. 2010;327(5964):439-42.
▼ Tero A, et al:J Theor Biol. 2007;244(4):553-64.
▼ Nakagaki T:Phys Rev Lett. 2007;99(6):068104.
▼ 中垣俊之, 他:物理学ガイダンス. 日本評論社編集部, 編. 日本評論社, 2014, p189-216.