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骨棘を伴う脊椎疾患とは

No.4769 (2015年09月19日発行) P.69

村木重之 (東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 臨床運動器医学講座講座長)

登録日: 2015-09-19

最終更新日: 2016-10-18

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【Q】

加齢とともに椎体の前面に出現しやすくなる骨棘は,すべて椎間板ヘルニア関連の疾患と考えてよいですか。あるいは変形性関節症(osteoarthritis:OA)などにもみられるのでしょうか。 (兵庫県 K)

【A】

椎間板ヘルニアは,椎間板を構成する髄核,線維輪,軟骨終板のうち,特に髄核(線維輪の一部を伴うこともある)が脱出するものであり,後方や後側方に突・脱出したヘルニアは神経根や馬尾などを圧迫し,腰痛や下肢放散痛などの症状を引き起こすことがあります(文献1)。
一方,腰椎におけるOA(変形性腰椎症)は,骨棘や椎間狭小化にて定義されます。汎用されている定義としてKellgren─Lawrence分類(文献2)がありますが,同分類によると,骨棘があれば,変形性腰椎症ありと定義されます。骨棘形成は非常に多く,60歳以上の75%が腰椎のいずれかの椎体に骨棘を持っています(文献3)。
椎間板ヘルニアについては,無症候性のものも多いため,その発生頻度の詳細は不明ですが(文献1),椎間板ヘルニアがあると必ず骨棘があるわけではなく,また,骨棘があると必ず椎間板ヘルニアであるというわけでもありません。ただし,椎間板ヘルニアの状態になると椎間のクッションが弱くなるため,骨棘形成が起こりやすくなることは確かです。そのため,骨棘は椎間板ヘルニアと関連があるとは思いますが,そのうちのすべてが椎間板ヘルニア関連の疾患であると言うことはできません。
以上をまとめますと,骨棘はすべて椎間板ヘルニアの関連疾患であるというよりは,変形性腰椎症の構成要素の1つと考えるべきであると思われます。

【文献】


1) 鈴木信正, 他, 編:腰椎変性疾患 基本知識とチェックポイント. メジカルビュー社, 2004, p54-61.
2) Ball J, et al:Atlas of Standard Radiographs of Arthritis. Vol 2. Lawrence JS, et al, ed. Oxford Blackwell Scientific Publications, 1963.
3) Muraki S, et al:Ann Rheum Dis. 2009;68(9):1401-6.

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