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小児在宅医療が教えてくれるもの [プラタナス]

No.4789 (2016年02月06日発行) P.3

石橋幸滋 (石橋クリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-27

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  • 最近、小児在宅医療が注目されているが、まだまだ小児の在宅に取り組んでいる医師の数は限られている。これには様々な理由があるが、在宅医療に取り組んでいる医師の数が少ないことはもちろん、小児科医もしくは小児科出身の医師が少ないことにも原因があるようだ。

    私は、最初は小児科医として出発し、総合医として僻地医療に携わる中で訪問診療を始めて30年以上になる。その中で、小児の訪問診療はわずか2人である。現在までに1000人を超える患者さんを訪問してきたが、1%にも満たない数である。しかし、2人とも私の医師としての人生に大きく影響した患者さんで、しかもまだ現在進行形である。

    そのうちの1人である13歳の女の子は、生まれた時に多発奇形(肺低形成、腹壁ヘルニア、先天性股関節脱臼など)および精神発達遅滞があり、5歳までは病院で暮らしていた。そして、5歳から現在に至るまで自宅で暮らしている。人工呼吸器をつけてはいるが、学校に行っているし、旅行にも行く。2週間に1回、気管カニューレの交換に行くが、いつもニコニコ、会話もできる。実際には写真のような状態であるが、それでも常に明るく、家族を思いやる本当に素晴らしい子である。

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