【Q】
帯状疱疹の周囲への感染力はどの程度ですか。学校への出席や職場への勤務は,水痘に準じて休ませるべきですか。 (千葉県 K)
【A】
帯状疱疹は,水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の感染により発症しますが,初感染では水痘になり,その後,感覚神経節に潜伏していたVZVがVZV特異的免疫細胞の減少から再活性化し,帯状疱疹になります。水痘は,日本のような温暖地区では10歳までにほぼ90%罹患し,唾液・咳などの飛沫,または空気を感染経路とし,未感染者に感染する疾患です。25℃以上の温熱で感染力を失うため,熱帯地方では,初感染年齢が平均15歳と遅くなっています。したがって,夏季は休暇もあることから,水痘が減少します。一方,帯状疱疹は夏ばてや水痘の減少でVZVに触れなくなることにより,ブースターがかからなくなり,症例数が多くなります。
水痘は発症24~48時間前より発現後4~5日,あるいは痂皮化するまで伝染力があります。帯状疱疹においても水痘よりは感染力は低下しますが,発疹出現3日前より唾液中にウイルスが排泄されるため,空気感染を起こし,皮疹が痂皮化するまでは接触感染で感染します。皮疹はカバーすることが原則となっています。帯状疱疹患者の免疫不全の有無によって,また播種性かどうかで感染力は異なります。免疫力が低下しているものほど,水痘疹が多いものほど,感染力は強くなります。したがって,米国CDCでは表1のごとくガイドライン(文献1)を出しております。
1) Bolyard EA, et al:Infect Control Hosp Epidemiol. 1998;19(6):407-63.