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移植病棟で考えたこと [プラタナス]

No.4813 (2016年07月23日発行) P.1

香坂俊 (慶應義塾大学循環器内科講師)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-23

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  • 自分は専修医としての最終年度を心臓移植病棟で過ごした。2006年のテキサス州ヒューストンでのことである。米国での研修生活も7年目に入り、ようやく循環器内科専門医の資格を取得する目処もついた時期であった。

    当時勤務していたのは、Baylor医科大学のTexas Heartという施設で、そこでは年間40~50件くらいの心臓移植を請け負っていた(週に1件程度)。移植病棟は激務であり、好んでローテートを選択する医師も少なかったが、自分は心臓集中治療の「最後のステップ」を学んでおきたいと考えて選択した。よく言われることであるが、「結局、すべての循環器疾患の行き着く先は心不全」である。そこで最後に提示されるのが「移植を希望するかどうか」であるが、具体的なプロセスは極めて専門的なチームに任されており、当時の自分にとっては別世界の医療であった。

    移植病棟で急性期に循環器内科が請け負うのは、主に①移植に至るまでの心不全管理、そして②周術期のサポートである。①では主にVADという人工心臓に近いデバイスが補助的に使用される。②では、ほぼ拒絶反応との戦いであり、腎臓内科や感染症内科との連携が欠かせなかった。写真は、そうした時期に自分が白衣のポケットに入れていた患者さんの「カード」である。

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