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肝切除前の画像診断

No.4729 (2014年12月13日発行) P.43

水口 徹 (札幌医科大学消化器・総合, 乳腺・内分泌外科准教授)

平田公一 (札幌医科大学消化器・総合, 乳腺・内分泌外科教授)

登録日: 2014-12-13

最終更新日: 2016-10-26

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肝切除術の術前画像検査として,CT-AやCT- APがルーチンで行われていたのは記憶に新しい。Gd-EOB-MRIが2007年に国内で使用できるようになり,局在診断が低侵襲に簡便に行われるようになった。Gd-EOB-MRIの第3相試験では,9.6%の患者で薬剤関連有害事象が報告されている(文献1)。一方で,肝細胞癌に対する検出感度(67.5~79.5%)は,単純MRIや従来のCTよりも高いと報告された。したがって,術前にIVR手技による治療介入の可能性がない限り,CT-A/CT-APに代わってGd-EOB-MRIが施行されている。また,Gd-EOBは肝細胞相で肝実質に取り込まれ,胆管に排泄されることから,肝機能評価法への応用なども行われている(文献2)。
転移性肝癌の画像診断としては,術前のPET-CTの有用性に関して,切除可能と判断された症例に対するRCTが行われた(文献3)。全生存期間においてPET施行群と未施行群で有意差を認めなかった(HR:0.86, P=0.38)。したがって,切除可能と判断された転移性肝癌症例に対する術前PET-CTは,予後に影響を与えないとの結論であった。しかし,270例の登録症例中14例(5%)に肝外病変が見つかり,9例は非手術になっている。本研究の結果は周術期の集学的治療も加味されており,これを受けての費用対効果を考慮した診断手順の改訂には慎重になるべきではないかと考える。

【文献】


1) Ichikawa T, et al:Invest Radiol. 2010;45(3): 133-41.
2) Tschirch FT, et al:Eur Radiol. 2008;18(8): 1577-86.
3) Moulton CA, et al:JAMA. 2014;311(18):1863-9.

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