1997年に「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)が施行され,わが国でも脳死下臓器移植の道が開かれたが,その後の13年間で行われた脳死下臓器提供は86件にすぎず,欧米のみならず,台湾や韓国と比較してもきわめて低い件数にとどまった。その後,2010年に改正臓器移植法が施行され,現在に至っている。
脳死肝移植は2013年までに216例が施行された。臓器移植法改正前は年間2~13例だったが,改正後は年間40例以上にまで増加している。一方,生体肝移植は現在でも年間400例前後が行われている(文献1)。
2014年7月末の時点で,脳死肝移植を希望する待機中の患者は409人である(文献1)。重症度を反映する医学的緊急度は,劇症肝炎や肝移植後のグラフト肝不全が10点,慢性肝疾患の重篤な肝不全状態(MELDスコアとChild-Pughスコアから算定される)が8点,Child-Pugh分類でC相当の肝硬変が6点で,より点数が高い人から,同一点であれば待機期間がより長い人から,順に脳死肝移植を受けることができるようになっている。現在,待機中の患者が脳死肝移植を受けることができる確率は1割程度にとどまっており,その多くが医学的緊急度10点,8点である。2016年4月からは,MELDスコアをもとにした,よりきめ細かな医学的緊急度システムが導入される予定である。
1) 2014臓器移植ファクトブック.
[http://www.asas.or.jp/jst/pdf/factbook/factbook2014.pdf]