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膵癌術後補助化学療法:海外との比較 【日本のガイドラインではS-1単剤療法を第一選択として推奨】

No.4790 (2016年02月13日発行) P.52

清水 明 (信州大学消化器外科講師)

小林 聡 (信州大学消化器外科准教授)

宮川眞一 (信州大学外科学第一講座教授)

登録日: 2016-02-13

最終更新日: 2016-10-26

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わが国における膵癌の術後補助化学療法は,CONKO-001試験(文献1)〔(ゲムシタビン:GEM)単剤療法群は手術単独群より生存期間が有意に延長〕,ESPAC-03試験(文献2)〔GEM単剤療法群は5-FU/LV(ロイコボリンR)療法群より消化器毒性が有意に少ない〕などの結果から,2012年まではGEM単剤療法が標準治療とされていた。2013年に米国臨床腫瘍学会で発表されたJASPAC-01試験(文献3)の結果では,S-1単剤療法群はGEM単剤療法群よりも,2年生存率(70% vs. 53%, P<0.001),2年無再発生存率(49% vs. 29%, P<0.001)といずれも有意に良好であった。これをふまえて,わが国の『科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン2013年版』では, S-1単剤療法が術後補助化学療法の第一選択として強く推奨され,S-1に対する忍容性が低い症例に対してGEM単剤療法が推奨されている。
一方,『NCCN腫瘍学臨床診療ガイドライン 膵腺癌(2015年,第2版)』による推奨レジメンは,GEMあるいは5-FU/LV(カテゴリー1),5-FUあるいはカペシタビン(カテゴリー2B)である。『欧州臨床腫瘍学会膵癌臨床診療ガイドライン(2012年版)』でも,GEMもしくは5-FUを推奨しており,わが国と大きく異なっている。

【文献】


1) Oettle H, et al:JAMA. 2007;297(3):267-77.
2) Neoptolemos JP, et al:N Engl J Med. 2004;350(12):1200-10.
3) Uesaka K, et al:J Clin Oncol. 2013;31(Suppl 4):abstr 145.

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