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原発性胆汁性肝硬変の病型と予後予測 【抗gp210抗体陽性例では肝移植や肝不全死に至る例が多く,抗セントロメア抗体陽性例では門脈圧亢進症に進行しやすい】

No.4792 (2016年02月27日発行) P.51

長谷川浩司 (三重大学消化器内科講師)

登録日: 2016-02-27

最終更新日: 2016-10-26

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原発性胆汁性肝硬変(PBC)は中年女性に好発する肝内小葉間胆管を標的とする自己免疫疾患で,胆管障害と胆汁うっ滞により病態が形成されている。ウルソデオキシコール酸(UDCA)による治療で予後は著明に改善しているが,早期に肝硬変・肝不全に至る症例も少なからず存在する。
GWAS(genome-wide association study)により遺伝子多型の網羅的解析が可能となり,PBCでも多数の感受性遺伝子が同定された。日本人を対象としたGWAS共同研究によりPBC発症に関連するHLA以外の疾患感受性遺伝子としてTNFS15,POU2AF1が同定された。またPBCでは,ミトコンドリアや核成分に対する抗体(抗ミトコンドリア抗体:antimitochondrial antibodies)をはじめ核膜孔蛋白(gp210)や核小体蛋白(sp100)に対する自己抗体,抗セントロメア抗体が陽性となる。自己抗体陽性の有無と予後予測とは関連があり,抗gp210抗体陽性例は陰性例に比較して有意に肝移植や肝不全死に至る症例が多く,また抗セントロメア抗体陽性例は門脈圧亢進症に進行しやすい。
これらの結果から2012年の「原発性胆汁性肝硬変(PBC)の診療ガイドライン」では進展様式を肝不全型,門脈圧亢進症型,緩徐進行型の3型にわけている。現在,肝不全型を含め難治例に対する有効な治療法はないが,今後,疾患感受性遺伝子解析による新たな治療法の確立が期待される。

【参考】

▼ 厚生労働省難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班:原発性胆汁性肝硬変(PBC)の診療ガイドライン(2012年). 2012.
▼ 中村 稔:分子消化器病. 2015;12(1):49-57.

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