株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

気管支鏡インターベンション 【治療困難な気胸・肺気腫例などの中に奏効例が存在】

No.4795 (2016年03月19日発行) P.54

山本真一 (自治医科大学呼吸器外科准教授)

遠藤俊輔 (自治医科大学呼吸器外科主任教授)

登録日: 2016-03-19

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

気管支鏡インターベンションとは気管支鏡を用いた治療的処置のことであり,1897年にドイツのKillianらが硬性気管支鏡を使って気管支異物を除去したことが最初とされる。1966年には池田茂人が局所麻酔下でも可能な軟性気管支鏡を開発し,現在まで種々のデバイスや手技が開発されてきた。
悪性腫瘍に対する代表的な気管支鏡治療は,腫瘍により閉塞した気道をレーザーや高周波を用いて再開通させ,その後ステントを留置し気道を確保する方法である。本法は救済的処置ではあるが,呼吸困難を劇的に改善させるだけでなく,次なる治療への橋渡し的処置としても有用である。
2014年には,気管支充填物質であるシリコン製のEndobronchial Watanabe Spigot(EWSR)(文献1)が保険適用となり,気胸や気管支胸腔瘻の原因となっている気管支の塞栓治療として用いることが可能になった。また,肺気腫での換気血流不均等を是正するための気管支充填術も行われることがある。さらに,15年4月より喘息に対する気管支鏡治療として気管支サーモプラスティ(文献2)も承認され,喘息重症例に対して効果が期待される。
治療的気管支鏡が開発されたとはいえ,年間10万件以上行われる診断的気管支鏡と比べ,治療的気管支鏡は年間3000件程度で(文献3),一般的と言いがたい。内科的・外科的治療とも困難な気胸・肺気腫・有瘻性膿胸の中に気管支鏡治療が奏効する例が存在するのを知っておくべきである。

【文献】


1) 渡辺洋一, 他:気管支学. 2001;23(6):510-5.
2) Wechsler ME, et al:J Allergy Clin Immunol. 2013;132(6):1295-302.
3) Asano F, et al:Respirology. 2012;17(3):478-85.

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top