最近の肺癌治療における大きな変化として,Stage Ⅱ-ⅢAの非小細胞肺癌に対する周術期治療としての免疫チェックポイント阻害薬や,免疫チェックポイント阻害薬+細胞傷害性抗癌薬の併用療法,分子標的治療薬などの開発が進んできている。日本肺癌学会編集の『肺癌診療ガイドライン2023年版』1)では,臨床病期Ⅱ-ⅢA期(第8版)EGFR遺伝子変異/ALK融合遺伝子陰性もしくは不明例に対して,術前にプラチナ製剤併用療法とニボルマブを併用した治療を行うよう提案されている。しかし,切除可能例における術前でのバイオマーカー検査については,ガイドライン上での言及はなされていない(結果が判明している場合には,EGFR/ALKが陰性の際に,これらの併用療法が考慮される)。
一方,非小細胞肺癌の手術例については,「術後補助治療を検討する場合にEGFR遺伝子検査およびPD-L1免疫組織化学染色検査(IHC)を行うよう推奨する」1)という項目が新設されており,術後補助化学療法を考慮する際には,これらのバイオマーカー検査を行う。進行非小細胞肺癌では後述の通り,多くの遺伝子異常が確認できる遺伝子パネル検査が推奨されていることから,術後の検査としてEGFRの単一遺伝子検査,あるいは遺伝子パネル検査を行うべきなのかについては,現在活発な議論がなされているところである。
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