非小細胞肺癌の周術期治療では,術後補助療法として,細胞傷害性抗癌薬であるプラチナ製剤併用療法が,現在でも強く勧められている1)。ただし,進行期症例で推奨される分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬は,周術期への導入によって,治療成績の向上が期待されてきた。
ADAURA試験では,完全切除されたEGFR遺伝子変異陽性のⅡ-ⅢA期(第7版)の患者において,オシメルチニブがプラセボに対して無病生存期間(disease-free survival:DFS)を有意に延長させた。ただし,全生存期間(overall survival:OS)の延長傾向はその時点で示されておらず,旧年版の『肺癌診療ガイドライン』では勧めるまでに至らなかった。
IMpower010試験は,完全切除されたⅠB-ⅢA期(第7版)の患者に対して,シスプラチン併用化学療法後にアテゾリズマブとプラセボが比較された。そのうち,腫瘍細胞のPD-L1発現1%以上のⅡ-ⅢA期(第7版)において,アテゾリズマブはDFSを有意に延長させた。OSは,PD-L1発現50%以上で良好な成績が示されたものの,1〜49%ではその傾向が認められなかった2)。その結果に基づき,ガイドラインではPD-L1発現50%以上に限って勧められることとなった(推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:C)。
残り987文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する