株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【肺癌診療ガイドライン】ドライバー遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌の治療[ガイドライン・インフォメーション]

三浦 理 (新潟県立がんセンター新潟病院内科 内科部長)

登録日: 2024-06-12

最終更新日: 2024-06-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 日進月歩の肺癌診療の情報を適切に臨床に届けるために,『肺癌診療ガイドライン』は毎年改訂が行われている1)。その中でもドライバー遺伝子変異に対する阻害薬治療の開発は,劇的な進化を遂げた肺癌診療の一翼を担う重要なトピックであり,改訂においては,新規薬剤,臨床研究の情報が,ほぼ毎年更新されている。

    2023年版における重要なアップデートは,HER2遺伝子変異陽性肺癌に対する新規阻害薬治療であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関する記載追加である(CQ63)。HER2は肺癌のほか,乳癌,胃癌などの細胞表面に発現する蛋白質であり,HER2遺伝子変異は非小細胞肺癌の2〜4%にみられる変異である。T-DXd は,抗体を用いて抗腫瘍物質を腫瘍局所まで運ぶことができる抗体薬物複合体(ADC)であり,これまでHER2陽性の乳癌,胃癌に適応を取得していたが,2023年8月23日にHER2遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対して適応拡大がなされた。現時点で承認の根拠となったT-DXd の前向き臨床試験であるDESTINY-Lung02は,既治療HER2陽性非小細胞肺癌を対象として,奏効割合53.8%,無増悪生存期間9.9カ月と報告されており,ガイドラインにおいても初回治療耐性後の二次治療以降の症例を対象として,初めて2023年版で記載追記された(推奨の強さ1/エビデンスの強さC/合意率61%)。現在進行中の未治療例を対象としたDESTINY-Lung04試験(NCT05048797)の結果次第で,初回治療への導入が期待されるところである。

    残り915文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top