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【肺癌診療ガイドライン】ドライバー遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌の治療[ガイドライン・インフォメーション]

No.5228 (2024年07月06日発行) P.46

三浦 理 (新潟県立がんセンター新潟病院内科 内科部長)

登録日: 2024-06-12

最終更新日: 2024-06-12

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  • 日進月歩の肺癌診療の情報を適切に臨床に届けるために,『肺癌診療ガイドライン』は毎年改訂が行われている1)。その中でもドライバー遺伝子変異に対する阻害薬治療の開発は,劇的な進化を遂げた肺癌診療の一翼を担う重要なトピックであり,改訂においては,新規薬剤,臨床研究の情報が,ほぼ毎年更新されている。

    2023年版における重要なアップデートは,HER2遺伝子変異陽性肺癌に対する新規阻害薬治療であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)に関する記載追加である(CQ63)。HER2は肺癌のほか,乳癌,胃癌などの細胞表面に発現する蛋白質であり,HER2遺伝子変異は非小細胞肺癌の2〜4%にみられる変異である。T-DXd は,抗体を用いて抗腫瘍物質を腫瘍局所まで運ぶことができる抗体薬物複合体(ADC)であり,これまでHER2遺伝子変異陽性の乳癌,胃癌に適応を取得していたが,2023年8月23日にHER2遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対して適応拡大がなされた。

    現時点で承認の根拠となったT-DXd の前向き臨床試験であるDESTINY-Lung02は,既治療HER2遺伝子変異陽性非小細胞肺癌を対象として,奏効割合53.8%,無増悪生存期間9.9カ月と報告されており,ガイドラインにおいても初回治療耐性後の二次治療以降の症例を対象として,2023年版で初めて記載追記された(推奨の強さ1/エビデンスの強さC/合意率61%)。現在進行中の未治療例を対象としたDESTINY-Lung04試験(NCT05048797)の結果次第で,初回治療への導入が期待されるところである。

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