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気胸[私の治療]

No.5153 (2023年01月28日発行) P.48

松山笑子 (慶應義塾大学医学部内科学(呼吸器))

福永興壱 (慶應義塾大学医学部内科学(呼吸器)教授)

登録日: 2023-01-31

最終更新日: 2023-01-24

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  • 気胸は何らかの原因で肺に穴が空き,胸腔内に空気が漏れることで肺がしぼむ状態である。進行すると縦隔が圧排され循環動態の破綻をきたし,緊張性気胸という重篤な疾患となる。

    ▶診断のポイント

    問診や身体所見では,突然発症の胸痛,咳嗽・呼吸困難のエピソード,聴診での呼吸音消失・減弱が決め手となる。

    画像検査は胸部X線検査で診断可能である。背景に呼吸器疾患がある場合や,手術の既往がある場合は胸腔内で一部癒着していることが想定される。血行動態が安定しており,胸腔ドレナージを検討する際は胸部CT検査の実施が推奨される。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    気胸は肺の虚脱の程度や原因により治療法を検討する。明らかな原因がなく起こる気胸を「自然気胸」と言い,20歳前後と60歳代に多い。喫煙歴や,背景に呼吸器疾患がある場合は「続発性気胸」と言われる。続発性気胸においては原因疾患の治療が必要な場合もある。若年の自然気胸は長身やせ型の男性で多いとされる一方,既往歴のない女性の気胸の約3%が「月経随伴性気胸」と言われており,月経時に繰り返す気胸を認めた場合は本疾患を疑う1)

    軽症例では外来での経過観察も可能であり,一般的には中等度以上の肺虚脱で胸腔ドレナージが適応となる。胸腔ドレナージを実施した後,健常者であれば肺に空いた穴が自然に塞がる可能性は高い。一方で,呼吸器疾患(間質性肺炎,肺気腫,非結核性抗酸菌症など)を背景に持つ患者においては,肺組織が脆弱であるため,治癒しにくい場合もある。

    胸腔ドレナージを実施し,肺の穴が塞がらなかった場合は,当該部位の外科的切除を検討することになる。その他,胸膜癒着術という手法も用いられることがあるが,外科的治療を行う可能性がある場合は癒着により安全に手術が実施できないため,治療の順序は十分に考慮する必要がある。

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