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気胸[私の治療]

No.5213 (2024年03月23日発行) P.43

髙橋浩一郎 (佐賀大学医学部附属病院呼吸器内科講師)

登録日: 2024-03-20

最終更新日: 2024-09-18

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  • 気胸は胸腔内に空気が貯留した状態であり,肺内の空気が胸腔に漏れ出すことによって生じる。緊張性気胸(気胸の原因にかかわらず,胸腔内圧が陽圧になった病態)の場合,迅速な胸腔ドレナージが必要である。

    ▶診断のポイント

    気胸の中で最も多くみられる自然気胸は,原発性自然気胸と続発性自然気胸に大別される。原発性自然気胸は,高身長・瘦せ型の若年男性に多く,肺胞の一部が囊胞化して形成されたブラの破裂が原因であることが多い。続発性自然気胸は,COPD・間質性肺炎などの基礎疾患がある症例に生じるものを指す。

    気胸は,胸背部痛と呼吸困難の症状を呈する。虚脱率が高い場合には,患側の胸部聴診で呼吸音低下を認める。胸部X線では,肺の辺縁と胸壁間に血管陰影のないスペースが認められる。気腫性囊胞との鑑別が難しい場合や胸腔ドレナージ部位の決定のために,胸部CTを実施する。

    重症度分類としては,胸部X線で肺尖が鎖骨レベルまたはそれより頭側であれば軽度,全虚脱あるいはこれに近いものを高度,これらの中間に当たるものを中等度とする1)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    気胸の初期治療は,肺の虚脱率,酸素化,臨床所見などにより判断する。肺の虚脱率が軽度で,呼吸困難などの症状がない場合には経過観察を行う。虚脱率が中等度以上の場合は,基本的に胸腔ドレナージを行う。血気胸(気胸に加えて胸腔内に出血した状態)の場合,胸腔ドレナージを行うが,経時的に排液(出血量)の減少がなければ,速やかに外科治療(胸腔鏡下手術)による止血が必要である。適切に胸腔ドレナージを実施していても,エアリークが消失しない場合にも外科的処置の適応である。また,呼吸器系の基礎疾患(COPD・間質性肺炎)のため,手術自体のリスクが高い場合,薬剤による胸膜癒着術を行う。

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