小児における胃瘻は,経口摂取では誤嚥のリスクがあるなどの,経口摂取が十分にできない重症心身障害児や基礎疾患を有する児の長期的栄養管理を目的に適応とされている。従来,胃瘻は全身麻酔による開腹手術で造設されていたが,近年,成人領域で簡便かつ安全な手技として経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy:PEG)が標準化し,小児領域でも普及してきた。
小児の胃瘻造設方法は,(1)開腹式胃瘻造設術,(2)PEG,(3)腹腔鏡補助下PEG,などがある。筆者らは,簡便かつより安全な方法として,術中透視を用いたSeldinger法によるPEGを行っている。まず透視下で肋骨をマーキングした後に,胃管より造影剤および空気を注入し胃を十分膨らませた状態で肋骨弓より尾側で胃を穿刺できる場合にPEGが可能と判断する。手術時間は30分程度で(文献1),術後早期に経管栄養を再開できる。明らかに小腸や横行結腸が拡張し胃の腹側に位置することが予想される場合や,内視鏡より送気にて胃を膨らませた際に側面からの透視下で胃壁と腹壁の間に腸管を認める場合はPEGの適応外とし,術式を開腹または腹腔鏡補助下PEGに変更している(文献2)。
今後,重症心身障害児における適切な時期の胃瘻造設は,患児の栄養改善・生活向上に重要な処置と考えられるため,従来の開腹式と異なり簡便な方法であるPEGは,さらに主流となるであろう。
1) 三谷泰之, 他:日小外会誌. 2013;49(6):1101-5.
2) Shimizu Y, et al:JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2014;38(4):475-80.