「社会学」の黎明期に業績を残した、ドイツの社会学者であり経済学者であるマックス・ウェーバー(1864~1920)が、1917年にミュンヘンで大学生に対して行った講演を著した書(1919年刊)(マックス・ウェーバー著、尾高邦雄訳、岩波文庫、1936年刊)
秋田から仙台に向かう新幹線の中で、雪に半ば埋もれている寒村を窓外にして、マックス・ウェーバーの『職業としての学問』のページをめくった。本書は、岩波文庫に収められている講演録である。青春の思い出の書であるとともに、折に触れて紐解く一冊である。
職業として大学で学問をするとは、どういう経歴から始め教授になるのかという現実的なところから説き起こし、学問に対する心構え、学問の意味や特徴など、次から次へと話が展開してゆく。読むに従い、なんとなくわかったつもりになり、高揚した気分のまま最後の一文に到達する。私の仕事にはこんな大きな社会的な意義があるとか、何か1つ学問上の大きなことをしてやろう、という態度はたしなめられる。お前はこれをやるために生まれてきたのだ、という特定の専門領域を発見し、そこに自己を閉じ込め、ただひたすら事実関係を確定していくという日々の仕事に専心できなければ、学問に生きる資格はないと言い切る。
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