1965年公開の内田吐夢監督作品。1963年に刊行された水上 勉の同名推理小説を映画化したもので、日本映画の傑作と称される作品である(DVD:東映ビデオ、2002年発売)
鮮やかな緑と白色のツートンカラーの北海道新幹線が津軽海峡を渡った。
私の思い出の一本は、この津軽海峡を題材にした、終戦後の混乱した貧困な暮らしの中での人間の業の深さ、男と女の愛憎を描いた、昭和38年に水上 勉が推理小説として発刊し、映画化された「飢餓海峡」である。
昭和22年頃の北海道を舞台として、網走刑務所を出所した三国連太郎演じる主人公が、仲間とともに強盗、放火殺人を犯し、さらにその仲間まで殺害する。その夜、嵐による青函連絡船の転覆事故が起こり、多くの乗客が放り出され犠牲となっている津軽海峡に仲間の遺体を紛れ込ませ遺棄し、一人真っ暗闇の嵐の海峡を、櫓を必死に操り下北半島にたどり着く。そこで出会った女とは足の爪を切ってもらうほど懇ろになり、貧しく暮らす女に盗んだ金の一部を与え別れるが、女は罪人とも知らず男を思い続ける。
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