認知症のケアパスは「認知症の人の状態に応じた適切なサービス提供の流れ」と定義されている。すなわち,地域における認知症連携パスのことである。まず,介護保険事業計画に反映させるために,地域資源の調査が必要となる。次に地域資源のマップを作成し,認知症のステージごとに時間軸に合わせて,多職種の医療介護連携を構築する。すなわち,横軸には時間が,縦軸には医療と介護の専門職と,行政,ボランティアの機能が明示されている(文献1)。
認知症ケアパスでは,当初認知症と認識されなかったり,受診を拒否したりするケースがある。そこで,家族や民生委員,近所の人が認知症ではないかと疑ったときに相談できるところが認知症初期集中支援チームとなる。
診断・治療が必要な場合には医療機関を紹介し,介護サービスが必要であれば要介護認定につなげ,介護支援専門員につなげる。その後,医療や介護サービスを利用し,もしBPSDが悪化すれば,再度地域の専門医や認知症疾患医療センターへの受診や入院ができるようにアクセスするシステムを構築する。可能な限り在宅で療養し,最期には介護施設の利用も検討する。
そうした長期にわたって,地域で安心して暮らせる体制の指針づくりが認知症ケアパスである。ポイントは,行政の指導のもとに医師会や介護福祉が連携して,顔がみえる関係を構築することである。
1) 遠藤英俊:MED REHABIL. 2015;183:113-9.