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B型肝炎ウイルスの母子感染予防と定期接種化【2016年10月より定期接種がスタート。母子感染予防は従来通り,保険で行われる】

No.4832 (2016年12月03日発行) P.53

杉浦時雄 (名古屋市立大学新生児・小児医学講師)

登録日: 2016-11-30

最終更新日: 2016-11-28

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わが国のB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)キャリアは130万人と推定され,世界中では20億人が感染し,4億人のキャリアがいる。HBV母子感染防止事業開始以来,母子感染成立例は急速に減少した。近年,接種漏れによるキャリア化が問題となり,2013年,HBV母子感染予防方法が変更となった。

新方式では,出生直後(生後12時間以内)に抗HBs人免疫グロブリン(hepatitis B immunoglobulin:HBIG)を筋注し,HBワクチンを,出生直後,生後1カ月,6カ月に接種する。その後,生後9~12カ月を目安に採血を行う。HBe抗原陽性妊婦からの出生児の場合,防止処置を行っても5%はキャリア化する。高ウイルス量妊婦では,母子感染予防として,核酸アナログ投与が有効である1)2)

WHOによると,14年時点では190カ国が予防接種を導入済みであり,世界中の乳児の84%が3回のHBワクチンを接種している。わが国でもようやく16年10月1日より定期接種が開始となった。対象は16年4月1日以降生まれの1歳までの児である。標準的なスケジュールは生後2カ月,3カ月,7~8カ月の3回であるが,1歳を過ぎてしまうと,自費扱いとなってしまうため,注意が必要である。また,これまで通り,母子感染予防は保険で行われる。母親以外に同居家族内にキャリアがいる場合も,母子感染予防と同じスケジュールで定期接種が可能である。

【文献】

1) 杉浦時雄, 他:肝臓. 2012;53(10):610-4.

2) 大江雅美子, 他:日周産期・新生児会誌. 2016;52 (1):165-8.

【解説】

杉浦時雄 名古屋市立大学新生児・小児医学講師

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